1.原子力が選択肢になりうる要因(復習) 福島原発事 故にもかかわらず世界 30 ヵ国以上で 443 基が現在稼働し、 なおも建設中~70 基、計画~100 基、2050 年には~1,000 基 と拡大の一途です(53 号で詳述)。とくに電力需要が急増す る新興国が顕著です。これは原子力に(1)安全性向上:新規制 基準、 (2)環境性:CO2 排出ゼロ、(3)経済性:低発電コス ト、(4)安定性:最適ベース電源、(5)自給率アップ:準国産 エ ネ ル ギ ー 、 等 の メ リ ッ ト が あ る か ら 、 で す ( 5 5 号 で 詳 述 )。

一方、我が国は「化石燃料資源はなく海外にそのすべてを 依存しなければならない国情」(そもそも論)にあり、これ を打破、同時に 2050 年 CO2▲80%を達成する電源構成を (1)再エネ67%(太陽光32%, 風力14%, 水力12%, 地熱・バ イオ 9%)、(2)原子力 18%、(3)LNG16%とする自給率 25% のエネルギー基本計画実現を目指しています。この計画に到 った経緯は 54 号で詳述しましたが、再エネ電力をすべて回 収できる蓄電池を導入しても再エネだけで全電力需要を賄 うのは不可能であることから現有の原子力発電所だけでな く LNG 火力に頼らざるをえないのです。

経済と環境を両立させるエネルギー解決策の選択肢が再 エネと原子力であり、水素を含む再エネが需要を 100%賄え る時期までは原子力が必要であることがわかります。しか し、原子力には福島事故の恐怖と不安が拭い切れません。そ のいくつかを以下に考えてみます。

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