20回にわたった「CO2排出量実質ゼロ、その実現への摸索」をひとまず終え、当財団に関わるトッピクスを取り上げ、できる限りエビデンスを添えて解説していきたいと思います。今回はCOP28を背景に、温暖化とともに深刻化する異常気象メカニズムを再考してみます。

1.異常気象とは 気象庁は「過去30年の気候に対して著しい偏りを示した天候」を、世界気象機関は「平均気温や降水量が平年より著しく偏り、その偏差が25年以上に1回しか起こらない程度の大きさの現象」を「異常気象」と定義していますが、自然変動の周期は1日周期の太陽放射(気温の日変動)、季節変化、十数年周期の太陽黒点活動、数十万年周期のミランコビッチ・サイクル等々があり、また、変動の山や谷も見方によって正常/非正常が異なりますので「時間スケール」でその判断は大きく左右されます。

しかし、もはや異常気象が頻繁(恒常的)に発生する現状では「平年より著しく異なった気象現象、家屋や農作物に壊滅的な被害をもたらした気象現象」とみなしています。

異常気象の要因は地球温暖化、海水温上昇、ブロッキング高気圧、偏西風蛇行、エルニーニョ/ラニーニャ現象、太陽活動変動、大規模火山噴火、森林破壊等の土地利用変化など挙げられますが、これらが単独でなく一つが他を誘発して複合的に関わっていきます。ですから、一方で豪雨・洪水、他方で熱波・干ばつ、という真逆の現象が発生したりします。

では、基準となる「平年の気象」から考えてみます。

つづきは会員ページより