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再生エネルギーの「エコ・エネ」評価 (8) ~「パリ協定」は「水素社会」実現次第? ~

「水素のエコ・エネ評価」を3回にわたって連載してきました。政府は「『水素社会』が実現しなければ『パリ協定』の約束は果たせない!」とし、2030年には本格導入、2040年に実現、との戦略を明示しています。今回は「水素社会」の意義や実現性ついて考察してみます。 1. 水素社会の意義 主な意義は以下のようです。 (1) 環境負荷の大幅低減:使用時のCO2排出はゼロ。製造時もゼロを目指すのが再エネ由来水素やCO2フリーです。脱化石燃料社会への第一歩です。 (2) 顕著な省エネ効果:燃料電池の発電効率は従来火力より高く、熱と水も製造でき、省エネ効果をより高めます。 (3) エネルギー・セキュリティーの確保:水素は種々の方法で製造でき、他のエネルギー源と組み合わせることで自給率が高まり、エネルギー資源の確保と電力供給の安定が担保されます。また、「非常用電源の機能も担保」できます。 続きはLSEアカデミアニュース36号

水素の用途と製造法の現状ー買い取った再エネ電力の使い道

1.水素の用途と製造法の現状 水素はこれまでエネルギーという観点ではほとんど使用されておらず、その強力な「還元力」という化学的機能を発揮する化学種として活用されています。例えば、石油精製プロセスで硫黄分の除去剤、プラスティック樹脂生成プロセスで安定剤や改質剤、製鉄プロセスで鋼板の光輝焼鈍剤、半導体製造プロセスで還元雰囲気ガスやキャリアガス、などとして150億m3程度もの水素が工業プロセス用に生産・消費されています。 水素は自然には存在しませんので、それぞれの工場で自家消費のために化石燃料等から「改質水素」【例えば、水蒸気改質CH4+H2O→3H2+CO】を生成、あるいは石油精製所や製鉄所で副次的に発生するオフガスやコークス炉ガス等の「副生水素」の供給を受けて利用しています。 続きはLSEアカデミアニュース35号

By |2017-12-23T01:17:50+09:0012月 23rd, 2017|会員専用, 理事支援メンバー|0 コメント

再生エネルギーの「エコ・エネ」評価 (6) ~「水素」:再エネ ~

1.水素は再エネか? 前号で「地中熱」を「自然界に存在する永続的に使用可能なエネルギー」であるから「再エネ」として推奨しました。では、「水素」はどうか? 「水素分子: H2」は空気中にわずか0.00005%(0.5ppm)〔体積比〕、つまり「自然界にはほとんど皆無な気体」なので「再エネ」とは言い難いですが、「永続的に使用可能な再エネ起源の電力によって水電解で発生できる」から「再エネ」とも言えます。結果的に「資源が枯渇せず繰り返し使え、発電時や熱利用時にCO2をほとんど排出しないエネルギー源」ですから「再エネ」と言っても許されそうです。 続きはLSEアカデミアニュース34号

再生エネルギーの「エコ・エネ」評価 (4) ~「未利用材」で森林蘇生と温暖化防止~

1.森林の蘇生は未利用材の利用促進 我が国の森林は国土の68 %も占め、緑豊かで癒しの源泉です。しかし、森林の現状は低廉な輸入材が自由化によって急速に普及した結果、今や国産材の自給率は20%を切り、森林経営は苦境に陥りました。人の手が入らない森林は荒廃し続けています。 瀕死の森林を蘇生できれば、新たなCO2吸収源を創生し、水源をより豊かにし、土砂災害を抑えるなど人が生きる上で欠かせない自然環境をさらに強固に守ることができます。 森林蘇生の第一歩は収穫期を迎えた森林を伐採し、新たに植林→育林→伐採の「森林リサイクル」を確立することです。 続きは会員ページにて

再生エネルギーの「エコ・エネ」評価 (5) ~「地中熱」を利用する省エネ冷暖房 ~

1.地中熱 再生可能エネルギー(再エネ)は「自然界に存在する永続的に使用可能なエネルギー」ですので、「地中熱」も再エネであり、前号までに概説した「木質バイオ」とともにアベノミックスの「新成長戦略」の主柱です。 深さ10m以下の地中温度は昼夜や季節に依らずほぼ一定ですので、図1のように夏は外気温より低く冷たく、冬は高く温かい熱源として活用できるのです。 続きはLSEアカデミアニュース33号

By |2017-12-23T01:11:20+09:0012月 23rd, 2017|会員専用, 理事支援メンバー|0 コメント

今年は「変」「動」「乱」?、やはり「育」! ~「快適と健康」も創出する省エネ設計士を ~

昨年、日本の平均気温が平年を0.88℃、世界のそれは0.44℃、それぞれ上回り、いずれも統計開始以来過去最高、最悪を記録しました。産業革命以前より日本では1.8℃、世界では1.4℃も上昇し、加速傾向です。世論は温暖化による異常気象を最も恐れ、「パリ協定」に「期待する」声は70%を超えています。温暖化対策に消極的なトランプ米国新大統領への懸念の声は80%以上にも及びます。 何はともあれ「日本は着実にCO2削減対策に推進すべき」なのです。これを高効率で具現化するのが「ESP省エネ事業」ですが、これが「三方良し」+「快適と健康」も創出してくれ〝so, happy !〟を味あわせてくれるのです。今年は、こんな「快適と健康、日常の充実感といった『心』の価値」が「『物』の価値」よりもっと大切だ、と実感できる「ESP事業」を推進、主導する「省エネルギー設計士」を「育」みます。皆さまの温かいご支援をお願いいたします。 続きはLSEアカデミアニュース31号

米・中・EU・日本のCO 2 削減競争 ~ パリ協定を見すえた主要国の現実策~

1.「京都議定書」から「パリ協定」へ 「京都議定書」は1997年に採択され、先進39国が5%削減(1990年比)に取り組み、アメリカとカナダが脱退するも37国は自国の削減目標を達成しました。しかし、約束期間終了年の2012年には世界のCO 2 排出量は32%(1997年比)も増えたのです。これは、37国の排出量は世界の30%程度、中国・インド等の新興途上国からの排出量が急激に増えたためです。 その後も増加し続けていますが、世界各国で悲惨な自然災害が相次ぎ、膨大な被害額は経済成長を妨げる危機感が世界中につのってきました。途上国ほど深刻な事態に追い込まれ、とくに中国が大気汚染対策で強硬なCO 2 削減対策を余儀なくされたのを契機に、CO 2 削減は全世界共通の喫緊課題となり「パリ協定」に至ったのです。 続きは LSEアカデミアニュース39号

再生エネルギーの「エコ・エネ」評価(9) ~ 燃料電池は水素社会を支えられるか ~

1.燃料電池の果たす役割 前36号で「我が国が『パリ協定』の約束を果たすには水素社会へ2030年に本格移行しなければならない」こと、そして「必要な『水素』はどうやら確保できそう」なこと、を概説しました。 次の課題は「燃料電池(FC: Fuel Cell)」の低コスト化と長寿命化です。FCは水素社会の一般家庭やオフィスのコジェネ(電気+熱:エネファーム)、燃料自動車(FCEV)のエンジンや非常電源など、きわめて重要な生活基盤を支える役割を担うのです。2025年には実用レベルに達しなければなりません。技術開発の苦悩など「燃料電池は水素社会の基盤技術になりうるか」を本号で考えます。 つづきは→ 20170904LSEアカデミアニュース37号

By |2017-11-16T23:41:51+09:0011月 16th, 2017|会員専用, 理事支援メンバー|0 コメント
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