16回にわたった「2050, カーボンニュートラルへの道」シリーズをひとまず終え、環境・エネルギー・気候変動に関するトピックスとそれについての私見(加藤)をお伝えできればと思います。

今回は、11/30からドバイで始まるCOP28に先立って世界資源研究所(WRI)等が11/28に公表した「1.5℃目標達成は不可能 !」と分析した経緯を取り上げます。

1.パリ協定:1.5℃実現へのシナリオと現状 「2100年における世界平均気温上昇を産業革命以前からの気温の1.5℃までに抑える」という合意がなされ、これを達成するためには「世界各国は、2050年までに温室効果ガス排出量を炭酸ガス換算値CO2eで実質ゼロ、すなわち、カーボンニュートラル(CN)まで削減しなければならない」、その中間段階として「2030年にはCO2e排出量を50%削減する」(2019年比)ことを約束しています。下図は、世界の2022年以降の予測CO2e排出量を示します【出典:WRI】。2022年はコロナショックからの経済回復で2021年より増加して574憶㌧ですが、「1.5℃」を達成するには紫線 で示すように「2030年に330憶㌧(2020年の▲43%)、2035年には250憶㌧(2020年の▲56%)まで削減させねばならない」のですが、各国が自主的に決定した削減目標値:NDCNationally Determined Contributionを積算したCO2e排出量を桃線 で「2030520憶㌧( の1.6倍)、2035510憶㌧( の2倍)」と見込まれ、しかも実体はNDCを果たせない国が多いので、 より10%程度多いと思われます。すなわち、各国がNDC削減目標を達成しても1.5℃シナリオとは2倍ほどの大差があり、「1.5℃実現不可能!」との警告は認めざるをえません。これが現状なのです。

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