1.農業の社会経済的現状農業は「土地を利用して有用な植物を栽培or有用な動物を飼育して生活に必要な資材を生産する業」で、「耕種農業(田畑を耕して種をまき、作物を栽培する業)」・「畜産農業(家畜を飼育・増殖し、乳・肉・卵・皮革などを得る業)」・「林業(森林を育て、木材を得る業)」に分類されます。これに「漁業(魚介類を捕獲・養殖する業)」を加えて「第一次産業」と呼んでいます。「鉱業(地中の鉱物資源を探査・採掘する業)」は採掘した鉱物を選鉱・製錬などの事業と一体なので第二次産業に分類されています。

農業の現状ですが、まずGDPの推移をみたのが下図で、第一次産業(農業・林業・漁業)と全産業のGDP(国内総生産)推移です。第一次産業全体のGDP~6兆円で、全産業~550兆円の寄与度は~1%に過ぎません。その内訳は畜産を含む農業が~5兆円(~80%)、林業が~0.2兆円(~5%)、漁業が~0.8兆円(~15%)で、大きな変動なくほぼ一定で推移しています。

農業総産出額は~9兆円(畜産3.2、野菜2.3、米1.6、果実0.9、他0.9)ですが、算出経費率が~0.4と高く、生産農業所得は~5兆円です。農家の収入は自然天候・経営規模・事業形態・品種等に左右され、平均年収は~350万円、日本全体の平均収入~420万円より低い。これは、農産物の価格決定権が大手サプライチェーンに握られ、弱い立場に置かれているためです。農作物の物流チェーンの革新が望まれます。

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