LSEアカデミアニュース No.55「パリ協定」遵守:再エネと原子力の攻防 (8) ~再エネと原子力の共存で CO2▲80%達成~
1.2050 年 CO2▲80%:再エネと原子力で! 前号で 「2050 年 CO2▲80%達成」のため「再エネと原子力の共存 が不可欠」とした根拠は以下の要素プロセスでした。 (1) 環境省が全県に依頼した再エネ最大導入容量の調査 結果に基づいた最大発電ポテンシャルは 8,000 億 kWh、現 実には再エネ最大電力供給 7,000 億 kWh と算定できる。 (2) 2050 年の電力需要は 11,000 億 kWh と見込まれる。 (3) したがって、再エネだけでは需要を賄えない。 (4) 需給差 4,000 億 kWh すべてを LNG 火力で賄うと CO2▲80%の国際約束を果たすことができない。 (5) 選択肢は既存の原子力発電所の活用。新安全基準をパ スした現有の原子力発電所を 60 年運転延長し設備利用率 87%で供給できる発電量は最大 2,000 億 kWh。 (6) 不足の2,000億kWhはLNG火力で補うしかない。 (7) 以上の対策でやっとCO2▲84%を達成できる。 すなわち、「2050 年 CO2▲80%達成」のカギは「再エネ と原子力の共存」です。一方で徹底的な省エネは不可欠です。 続きは会員ページより
拝啓 師走の候、ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。 さて、第 71 回「ESP推進分科会」定期セミナーを下記の通り開催いたします。ご多用の折 とは存じますが、ぜひご参加頂きたくご案内いたします。本年も、「ESP事業」に対し格別の ご支援、ご高配を賜りましたことに、厚くお礼申し上げます。 敬具
本稿は電力中研レポートY19501「2050 年のCO2 大規模 削減を実現するための経済およびエネルギー・電力需給の定 量分析」を基にCO2▲80%実現へのシナリオを考えます。 1.経済と省エネの進展条件 2050 年予測のポイントは 経済動向です。直下 20 年間の経済成長率【実質 GDP の年 変化率】は平均+0%後半であり、人口減少による減退を技術 革新による増進がやや上回る期待から①経済成長率+0.5% が継続するものと設定します。この条件下でのエネルギー需 要は省エネ率に依存するので、直下 20 年間のエネルギー消 費原単位【エネルギー消費量/国民総生産】の平均改善率 1.3%、すなわち②省エネ年率+1.3%が継続するとすれば、最 終エネルギー消費は基準年 2013 年より▲22%減の 11EJ (E=1018: エクサ)、電力需要は電化率が 34%に拡大することか ら1.1 兆kWh と見込まれ、ほぼ現状の電力需要です。 続きは会員ページより
1.はじめに 温暖化対策としてIPCC は①省エネ、②再 エネ、③原子力、④CCS(CO2 回収貯蔵)の推進を訴えて います。ただ原子力は安全性に、CCS は実用性にリスクが あるものの技術革新による克服が可能としています。 本シリーズは温暖化緩和に威力を発揮する「再エネ」と「原 子力」の攻防について、前号までは「再エネ」中心でしたが、 本号からは「原子力」に注目していきます。 エネルギー、とくに電力に関わる私たちビジネスマンは 「再エネ」はもちろん、「原子力」についてもっとしっかり と理解した上で自らの考えをもつことが大切です。 2.原発443 基が世界で稼働中、なお拡大へ 2018 年現 在、世界で稼働中の原子力発電所は総計443 基(各国の保有 数は下図[ ]の数値)、31 ヵ国が保有し、その発電量は世界 総発電量~25 兆kWh の~12%に達します。仏国は全電源の 76%が原子力、50%以上が3 ヵ国、30%以上が10 ヵ国あり、 さらに~70基が建設中、~100 基が計画中、2050年には1,000 基超、と世界の原子力発電は新興国を主に拡大の一途です。 続きは会員ページより
拝啓 金風の候、ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。 平素は、「ESP事業」に対し格別のご支援、ご高配を賜り厚くお礼申し上げます。 さて、第 70 回「ESP推進分科会」定期セミナーを下記の通り開催いたします。 ご多用の折 とは存じますが、ぜひご参加頂きたくご案内申し上げます。 敬具 記 1.日時:令和元年 11 月 22 日(金) 午後 1 時 30 分~午後 4 時 30 分 2.場所:ウィルあいち(名古屋市東区上竪杉町1)2階 特別会議室
1.増加の一途:世界のエネルギー消費と経済成長 本号は世界に目を転じて温暖化防止の施策を考えてみます。 まず、世界における一次エネルギー消費量( )の推移を下図に示します。2018年は13.9Gtoe(toe: 石油換算値)、京都議定書の基準年1990年の1.7倍に達します。このエネルギーは経済成長のために投入され、2018年の実質GDP( )は84.6T$[T(tera):*1012、$: 米㌦]、1990年の2.2倍に達しており、同じ利得を得るに要するエネルギーは▲30%省エネになっています。一方、温暖化の要因である化石燃料由来のCO2排出量( )は33.7Gton-CO2、1990年の1.6倍で、一次エネルギー増加率よりやや低く3Eトリレンマ【経済(Economy)成長にはエネルギー(Energy)の投入が不可欠だが、環境(Environment)を悪化させる、つまり3Eの同時解決は困難】を解決するディカップリング【エネルギー投入増加率よりもGDP増加率とCO2排出減少率が共に高い現象】が実現している。注目すべきトピックスです。 一方、世界の総発電量は2018年26.6PWh[P(peta): *1015]で1990年の2.2倍:と急速に電化が進んでいます。2040年のエネルギー消費は現在より+30%増加し、その40%を電力が占め、再エネがその40%に達するとの予測がなされています。今後も世界経済成長のため電力を含むエネルギー需要は増加の一途を辿りますので、CO2排出量増加率を低下させる省エネを含む低炭素・脱炭素化ビジネスを進展させ、パリ協定「2.0℃約束」を果たさねばなりません。 続きは会員ページより
1.増加の一途:世界のエネルギー消費と経済成長 本号は世界に目を転じて温暖化防止の施策を考えてみます。 まず、世界における一次エネルギー消費量( )の推移を下図に示します。2018年は13.9Gtoe(toe: 石油換算値)、京都議定書の基準年1990年の1.7倍に達します。このエネルギーは経済成長のために投入され、2018年の実質GDP( )は84.6T$[T(tera):*1012、$: 米㌦]、1990年の2.2倍に達しており、同じ利得を得るに要するエネルギーは▲30%省エネになっています。一方、温暖化の要因である化石燃料由来のCO2排出量( )は33.7Gton-CO2、1990年の1.6倍で、一次エネルギー増加率よりやや低く3Eトリレンマ【経済(Economy)成長にはエネルギー(Energy)の投入が不可欠だが、環境(Environment)を悪化させる、つまり3Eの同時解決は困難】を解決するディカップリング【エネルギー投入増加率よりもGDP増加率とCO2排出減少率が共に高い現象】が実現している。注目すべきトピックスです。 一方、世界の総発電量は2018年26.6PWh[P(peta): *1015]で1990年の2.2倍:と急速に電化が進んでいます。2040年のエネルギー消費は現在より+30%増加し、その40%を電力が占め、再エネがその40%に達するとの予測がなされています。今後も世界経済成長のため電力を含むエネルギー需要は増加の一途を辿りますので、CO2排出量増加率を低下させる省エネを含む低炭素・脱炭素化ビジネスを進展させ、パリ協定「2.0℃約束」を果たさねばなりません。