LSEアカデミアニュース No.90 快適・安全安心・健康な衣食住環境を創る(5) ~ 工業型農業の持続可能性を考える ~
1.工業型農業とは 1960年代以前の「従来品種」による農法は肥料を一定以上投入すると「倒伏(稲が倒れる)」が起き、収量が上がりませんでした。これを打破する「高収量品種(品種改良により高い収穫量を目的に開発された品種)」が米・麦を対象に開発に成功し、大量の化学肥料の投入が可能になりました。灌漑設備・病害虫防除技術・農業機械化などと相まって穀物の大量生産に成功しました。これら1960年代に起った農法変革を「緑の革命」と呼んでいます。 その後、農業機械と農業技術のイノベーション・遺伝子工学・国際貿易などを活用して産業的に生産する近代的な農業体系を「工業型農業」と呼んでいます。これには農産物だけでなく畜産物・魚介類を含む第一次産業全体を含んでいます。 続きは、会員ページより
1.Eating or Heating(食か暖か) 今、極寒を迎えようとする欧州での生活費の危機を訴えるフレーズです。ロシアのウクライナ侵攻がもたらした私たちの生活実態を端的に表しています。とりわけEU圏は天然ガスの45%、石油25%、石炭45%をロシア産に依存していたのを「石油・石炭は輸入禁止、天然ガスは5年後までにゼロ」なる制裁を実施しているので、「冬に向けて天然ガスの温存」を呼びかけ、15%の削減目標の達成と備蓄を強く促しています。ドイツをはじめ各国の天然ガスの貯蔵率はほぼ100%に達し、ロシア産抜きで冬をしのぐ目途がついたようです。石油の代替先確保もコロナで財政支出がかさんだOPEC産油国は高値を維持して歳入を確保したい思惑があって大幅な増産に賛同せず難しい局面が展開されています。 当面の苦境をしのぐため、独・仏をはじめ欧州各国はやむを得ず石炭火力発電所の活用、原子力発電所の運転期間延長を実施しています。 続きは、会員ページより
家庭部門で消費するエネルギーの60%、業務部門での~45%が冷暖房・冷温水器、すなわち、高々50℃の熱を燃焼温度2,000℃の化石燃料で賄っていますが、これは熱力学的にはエントロピー=ムダを増やし、温暖化を助長します。冷暖房等を地球に優しい「地中熱」を活用すればカーボンニュートラルへの一助になります。地中熱は、年間通してほぼ15℃の恒温になっている地下10mほどの安定的な熱源(帯水層)ですので、夏なら冷房に、冬なら暖房にそのまま活用できるのが魅力です。地中熱利用ヒートポンプ(HP)の実証試験によれば、その省エネ効果は従来の空気熱HPの~25%、化石燃料焚きボイラーの~30%あり、石油換算で30万㌧タンカー55隻分も節約できます。また、CO2排出量の削減効果は全排出量の~4.5%に達します。 続きは会員ページより